素直じゃないあたしを温めて

幸子さんがあたしに会釈をして、


「こんにちは、貴方が琥珀ちゃんね?」


そう言って手を差し出してくれた。


「はい、よろしくお願いします」


その手を掴み、あたしは頭を下げた。


その横に居る亜衣さんが、


「初めまして!上野亜衣です!いつも航太から聞いてまーす!」


「え?」


「馬鹿!余計な事言うなよ!」


「黙れいっ、このバカップルがぁ」



二人は会った途端に小さな口喧嘩を始めた。



「ふふっ」


あたしは思わず笑ってしまい、


「えっ?何で笑ってるの?」


と亜衣さんに顔を覗き込まれた。


「いや、亜衣さんって見た目はすごく大人しそうなのに、違うなあって思って」


「えーっ、何それ!」


「ぶはっ、お前煩いってよー!」


「うるせーっ、航太のガキさには負けるわ」


「はあ?てめぇの方がガキだろ」



おさまる所か悪化する口喧嘩を見ながら笑っていたけど、

内心は、「仲良いなあ」

ってそう思った。
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