素直じゃないあたしを温めて
別荘の近くのベンチにあたし達は座った。
海の風で髪の毛がなびく。
「亜衣さんと仲良いんですね」
沈黙に耐え切れず、思わずそう言ってしまった事に後悔した。
おどおどしているあたしを見た幸子さんは、
ふふっと笑ってから静かに
「幼なじみなの」
そう呟いた。
あたしも聞く前からきっとそうなんだろうな、と思っていた。
でも……
「昔、付き合ってたわ」
「……」
覚悟はしていたけど、やっぱり
いざ聞いてしまうと胸がチクリと痛む。
別に、今は何の関係も無いのだろうけど、
ただの幼なじみという関係なのだろうけど……
二人は、想い合っていたという事なんだ。