素直じゃないあたしを温めて

「あのっ、話って何ですか?」


微妙なこの空気が嫌で、
あたしは話題を変えた。


「ああ、そうね……」


そう言いながらカバンの中を探って、取り出してきたものは


「これ……」


「航太の小さい頃の写真」


「……」



目の前に差し出されたのは、
満面の笑みで写っている柳瀬と優しい表情の幸子さんの写真。


何故か、その写真に目が離せなかった。



その理由は、たぶん……



「本当はね、航太と一緒に居たかった」



ああ、やっぱり。



「嫌われるのも当然よね……」



泣きながら声を震わせる幸子さんを見て、あたしは確信した。



二人の間には誤解があると。
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