素直じゃないあたしを温めて
「だってさ、そんないつまでも過去の事引きずってたら楽しくないだろ。
俺だって初めは母親の事憎んだし、許せねぇって思った。
でもいつまでもそんな感情抱いてたら、自分が幸せになれないって気付いたから。
今でも多少は憎んでるけど、その……今の現実を受け入れる事にした」
「あたしは……あたしは幸せになんてならなくて良い」
あたしは幸せになれるような人間じゃないの。
普通に生きて、普通に死ぬ。
もう誰にも頼らず、今の家族だけをあたし一人で守っていく。
そして、時が来れば静かにこの世から居なくなる。
そんな人生で良い。
もう、何も要らない。
幸せ何て、もう要らない。
「本当は、幸せになりたいって思ってるんだろ?」
「は?」
あたしが幸せになりたいと思ってる?
「あはは……意味分かんないや」
「さっき泣いてたのだって、寂しくて、誰かを求めてたからだろ?」
「ちがっ────」
「もっと素直になれよ」