素直じゃないあたしを温めて
もちろん、簡単になれるものではないという事は分かっている。
でも……
あたしは、今まで色んな経験をしてきた。
色んな感情を抱いた。
でも、ある一人の人物があたしを変えてくれた、未来を見せてくれた。
それが……どんなに素晴らしい事なのか。
あたしも、誰かの役に立ちたい。
光を……希望を、与えたい。
あたしの今までの経験を生かして。
「一緒だ……」
テレビに映し出された一人の女性の話に釘付けになり、ぐっとテレビに近付いた。
あたしと同じで、彼女も親に捨てられたと語っていた。
「どうして、カウンセラーになろうと思ったんですか?」
アナウンサーの男性がその女性に問いかけた。
「色んな人と出会って、色んな事を知りました。
辛いことも、楽しいことも全部。辛い時には誰かに支えて貰えて……それが凄く嬉しくて。
自分のために泣いてくれる人とか、一生懸命になってくれる人とか。
感謝してもしきれないくらいで……
だから、今度は私が誰かを助けたいって思ったんです。
…………そう思わせてくれた人が居るんです」
────……
この広い世界の中で、
あたしと同じだと言える人は何人居るのだろう。