素直じゃないあたしを温めて
「茂里……!」
後ろから走って来るのは……
愛しくて仕方の無い人。
でも、もう……
終わり。
「では、そういう事で。お願いします、理事長先生」
返事など何も聞かず、あたしは逃げるように走って行った。
「茂里っ!」
「琥珀!」
後ろから、柳瀬と由香ちゃんの声が聞こえたけど、振り返らなかった。
もう、これで良いんだ。
これで、良いんだよ……
柳瀬には、頑張ってもらいたい。
それに……あたしも頑張るから。
「……」
走って、走って、走って……
着いた場所は、屋上。
自分でも無意識だった。
あたしにとって、色んな思い出があるこの場所。
柳瀬と、笑ったり、泣いたり、喧嘩したり……別れ話をしたり。
「色んな事があった……」