素直じゃないあたしを温めて

「茂里……!」


後ろから走って来るのは……

愛しくて仕方の無い人。



でも、もう……


終わり。


「では、そういう事で。お願いします、理事長先生」



返事など何も聞かず、あたしは逃げるように走って行った。



「茂里っ!」


「琥珀!」



後ろから、柳瀬と由香ちゃんの声が聞こえたけど、振り返らなかった。




もう、これで良いんだ。

これで、良いんだよ……



柳瀬には、頑張ってもらいたい。



それに……あたしも頑張るから。




「……」



走って、走って、走って……

着いた場所は、屋上。


自分でも無意識だった。



あたしにとって、色んな思い出があるこの場所。



柳瀬と、笑ったり、泣いたり、喧嘩したり……別れ話をしたり。



「色んな事があった……」
< 375 / 440 >

この作品をシェア

pagetop