素直じゃないあたしを温めて

「俺に相談してくれたって良かったのにー。てか、大変だったな」


とあたしの頭の上に手をポンと乗せた。


拓未くんにはお世話になったから……
言っておかなくちゃ。


「私ね、心理カウンセラーになりたいって思ってるんだ」


「心理カウンセラー?」


「うん。でね、他にも理由があるんだけど……進むべき道が違うから……あたし、柳瀬と別れたの」


「……え?」



よほど驚いたのか、拓未くんは口をポカンと開けてあたしを見ていた。



「でもね、もう大丈夫!未練とか無いし、あたしは自分の道を進むだけって感じかなあっ」



拓未くんに心配掛けないように、出来るだけそう明るく振舞った。

なのに……なのに。


「じゃあ、なんでそんな泣きそうな顔してんの」


そんな事言うから。


「泣きそうになんかなってないって!」


自分の情けない顔を隠すために、あたしはイスから立ち上がり、顔を背けた。
< 386 / 440 >

この作品をシェア

pagetop