素直じゃないあたしを温めて
「俺に相談してくれたって良かったのにー。てか、大変だったな」
とあたしの頭の上に手をポンと乗せた。
拓未くんにはお世話になったから……
言っておかなくちゃ。
「私ね、心理カウンセラーになりたいって思ってるんだ」
「心理カウンセラー?」
「うん。でね、他にも理由があるんだけど……進むべき道が違うから……あたし、柳瀬と別れたの」
「……え?」
よほど驚いたのか、拓未くんは口をポカンと開けてあたしを見ていた。
「でもね、もう大丈夫!未練とか無いし、あたしは自分の道を進むだけって感じかなあっ」
拓未くんに心配掛けないように、出来るだけそう明るく振舞った。
なのに……なのに。
「じゃあ、なんでそんな泣きそうな顔してんの」
そんな事言うから。
「泣きそうになんかなってないって!」
自分の情けない顔を隠すために、あたしはイスから立ち上がり、顔を背けた。