素直じゃないあたしを温めて
「さっきね、お父さんに会ったの」
重く、低い声であたしはそう呟いた。
「……え?」
「知らないってさ。あたしの事知らないってさ。誰だろ?って言ってた。……誰だろうね、あたしって。
何だろうね。何の為に生きてるんだろうね。
皆を傷つけてばかりなのに。あたしなんか居ても──」
「私が嫌だ!!」
「……」
「お姉ちゃんが居なくなるなんて、絶対……絶対嫌だ!だから……変な事考えないでよ!お姉ちゃんは、お姉ちゃんだよ!」
妹の方がしっかりしているなんて、情けない話。
「お姉ちゃん。大事な話があるの」
美砂の目は真剣で。
涙を必死に拭いながらあたしを見ていた。