素直じゃないあたしを温めて

「絶対に言うなって言われてたんだけど……でも、もう今は言うしかないって思って」



ふと美砂を見ると、彼女の手は震えていて。

それを隠すのに必死になっていたけれど、あたしには見えていて。



「……琥珀ちゃん。覚悟は出来てる……?」



いきなりそう言われても、何の事か分からないあたしは、ただ首を縦に振るしかなかった。





だって、



だって、どんな事を聞かされるのか、分からなかったから────……











「美奈子はもう後、どれくらい生きられるか分からないの……」







どういう事か、分からなかったから────……
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