素直じゃないあたしを温めて

「すぐに受け入れられ無いかもしれないけれど……聞いて欲しい」


あたしは一度、目を閉じて、息を吸った。






「美奈子は、胃ガンなの。それが分かったのは琥珀ちゃんがまだ中学二年生だった頃。

その時に、医者に余命五年だって言われた。
その時はあたしも一緒に居たの。

そしたら美奈子、怖いって言ってた。

私、吃驚しちゃった。あの気の強い美奈子の口から怖いなんて言葉が出るって思って無かったから……でも、そう思うのは当たり前なんだよねって。


美奈子、琥珀ちゃん達に親らしい事何も出来てないのに、このまま死んでいくなんて母親で居る資格なんてないって言ってた。

だから余命宣言されてから毎日悩んでた。どうしたら良いのかって。だから琥珀ちゃん達にはガンの事は言わなかった。旦那にも絶対に言わないって言ってた。

それは言った方が良いんじゃないかって聞いたら、あの人は私を見てないからって、小さい声で言ってた。


……琥珀ちゃんも知ってると思うけど康介さん、不倫、してたの。




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