素直じゃないあたしを温めて

「……」



おばさんが出て行った途端、静まり返る病室。



あたしは恐る恐るお母さんに近付いて行き、



「どうして……どうして何にも本当の事話してくれなかったの……?」


そう、静かに尋ねた。


お母さんは、あたしと目も合わそうとせず、ずっと窓の外を眺めていた。



「ねぇ……どうして……」


本当の事を知らずに此処まで来たあたしの心は痛いよ……?


「それでも貴方達を捨てた事には変わりない。傷付けた事には変わりない。……もう、ずっと私を憎んだままで良かったのに……それで良かったのに」




やっぱり、親子なんだね……

あたし達は、似ている。




……お母さんは、逃げているんだ。

< 415 / 440 >

この作品をシェア

pagetop