素直じゃないあたしを温めて

あたしは小さく頷くと、


「靴擦れしてる」


「え?」



柳瀬が指した、

右足を見ると、


赤くなって、少し血が出ていた。



慣れないヒールで、

さっき柳瀬に引っ張られて走ったから、

たぶん靴擦れしたんだろう。


「あんたのせいじゃん!ばぁか」


「わりぃ」



柳瀬はそう言うと、カバンから

絆創膏を取りだし、

あたしの右足に貼った。



「……ありがと」


「うわっ、素直にお礼言えんじゃん!」


そう言うと、柳瀬はあたしの頭を撫でた。


「うるさいっ馬鹿!」


あたしは柳瀬の手を払いのけて、俯いた。

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