素直じゃないあたしを温めて
あともう一人、伝えておきたい人が居る。
「由香ちゃん……」
由香ちゃんにもあたしは救われたから。
最後に、言わないと。
「琥珀!」
と、後ろから息を切らして走って来た。
「何?話って!まさか、柳瀬と復活……!?なんて事が……!?」
「あーごめん、そうじゃない……」
相変わらずの由香ちゃんのテンションに、口元が緩んだ。
「あっ、ご、ごめん!変な事言っちゃった……」
「大丈夫だよ!あのね、あたし引っ越しするの」
「え……?また?」
「うん。今度は……県外なんだけど」
「県外!?何それどういう事!?」
お母さんの事は拓未くん以外には誰も話していなくて。
「お母さん、入院してるの。だからそこへ……」
「……そっか。寂しいな……」