素直じゃないあたしを温めて
「はい、買って来たよ高級マンゴー」
「おおっありがとー!」
「本当はこんな高いの買ってるお金なんて無いんだからね!」
そう言いながらも、洗って切ろうとしているあたしの口元は緩んでいて。
お母さんと普通にこうやって話が出来て、一緒に居られる事が嬉しいんだと思う。
こんな当たり前の事が嬉しいのは、色んな事があったからで。
「あ、あとこれ……」
ポケットからピンクのお守りを取り出して、渡すと、
「……何これー神頼みしなくても死なないって」
そう言って強がっているけど、涙が零れそうなのはあたしには分かっていて。
「ありがとう」
最後にはそう笑顔で受け取った。
「あ、私も渡すものがあるんだった」
「へ?」
「はい、これ」
渡されたのは、白い封筒だった。