素直じゃないあたしを温めて

「……永遠に」



そっと柳瀬の唇があたしの唇に重なった。






神様。

あたしは欲張っても良いんですよね?




……いいや、



欲張らせて下さい────




「病院まで送るから」


「ありがと」


「立てるか?」


「大丈夫。ちゃんと、立……痛っ」



立ち上がろうとしたら、さっきくじいた所が痛くて上手く立ち上がれなかった。



「ははっ」


柳瀬が急に笑い出したから何かな、って一瞬分からなかったけど……

すぐに分かった。



「あの日と一緒」



そう、あの日。柳瀬に“素直になれよ”と言われた日。

靴擦れしたあたしを柳瀬はおぶってくれた。
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