素直じゃないあたしを温めて
「乗れ」
「……ありがと」
やっぱり柳瀬の背中は温かくて。
あの日と同じ温もりを感じて涙が出そうになった。
「重くない?」
「全然」
あの日から色んな事があった。
柳瀬と出会えたから……。
「茂里のお母さんが退院して元気になって、茂里が心理カウンセラーの資格取れて、就職もしたらまた迎えに来る。
その時には指輪を用意して、もう一度言うから」
「……うん」
「俺も、母さんと一緒に暮らす事を考えてる。俺もまた、茂里みたいに頑張るから。お前のおかげだよ、ありがとう」
柳瀬がまた、幸子さんと一緒に暮らすと聞いて、あたしは嬉しかった。
また二人が家族に戻って幸せに暮らして欲しいな。
「絶対迎えに来るから……それまで、俺を想ってくれるか……?」
「当たり前っ……!」
あたしの見る未来には……夢の先には
柳瀬が居る────
今はまだ人生の一ページしかない。
だから、二人でその物語を完成させよう。
貴方の温もりを感じながら。