素直じゃないあたしを温めて

いつも通り普通に学校が終わり、

廊下に出て帰ろうとした時、



「茂里!」



紙を持って、

柳瀬がこっちに向かって走って来た。



「そんな早く帰ろうとすんなよー」


「・・・だって別にする事無いし」


「あるよ!はい、コレ」



柳瀬は持っていた紙を

あたしに渡し、満足そうな笑みを浮かべた。



「言ってたカフェでのアルバイト。連絡したら今日から来れないかって」


周りに聞こえないように小さな声でそう言った柳瀬は、

「大丈夫だよな?」と、心配そうにあたしの顔を覗き込んだ。


「あ、うん。大丈夫」


「良かった。その紙に場所書いおいたから」



折ってあった紙を広げると、

黒いボールペンで細かく書かれた

地図があった。


たぶん、これを書くのにかなり時間がかかったと思う。





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