素直じゃないあたしを温めて

此処で引き返しても、もう遅い。



学校から此処まで結構な距離を歩いた。

こんな所初めて来たから、

かなり不安になった。


「あたし、こんなに方向音痴だったとは……」



どうしよう、あたし、本当に迷子じゃん。


「あ」



ふと目に入って来たのは柳瀬の携帯番号。



「……」


さっき、迷子になんてならないって

強がったばっかだし……



でも、早く行かないと店の人に迷惑かけちゃうし……




あたしは思い切って柳瀬に電話をする事にした。



プルルル……




「やっぱやめ!!」


あたしは柳瀬が出る前に、

途中で電話を切った。


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