素直じゃないあたしを温めて

「まぁ、色々とね」


「ちゃんと寝ろよー?女の子はちゃんと寝ないと美容に悪いぞっ」



柳瀬はそう言うとあたしのほっぺを

片手でギュッとした。


「いたいーっ」



そう言うと柳瀬は


「じゃあな、本当に寝ろよ」


と言って教室を出て行こうとした。




「あ、そうだ。茂里、今暇?」


「え?別に。暇っちゃ暇かなぁ。今日バイト無いし」


「じゃあ、悪いけどこれ図書室に返しに行って貰っていい?」



そう言ってあたしの前に

差し出したのは古くて

ページの部分が茶色くなってしまった

英語の辞書だった。



「って、なんであたしが!」


「いや、俺これから色々忙しいから。ヒマなお前に仕事をプレゼント~」


「ばーかっ、自分で行きなさいよっ!」


「あれ~俺にそんな事言って良いのかなぁ?俺、結構茂里の面倒みたりしてやってるんだけどなぁ~?」



そう言って意地悪そうに笑う柳瀬。


くそう、ちょいS野郎め。
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