素直じゃないあたしを温めて
「あーもうっ、分かったよ。返せば良いんでしょっ、返せば!!」
「初めから素直にそう言ったら良かったのに~」
柳瀬はあたしの頭を撫でて、
じゃあな、と言って教室を出た。
不思議。
何だかあんまり嫌じゃない。
昔のあたしなら絶対無視して
返しになんか行かないのに。
あたしはちょっと微笑みながら図書室に向かった。
「うわっ、こんなに広かったんだ、此処」
高校に入って三年目にもなるのに、
実はまだ図書室に入ったことが無かったあたし。
いざ入ってみると、かなり広くてびっくりした。
本棚にギッシリ本が並べられていた。
近くに「返却コーナー」
というのがあったから、
そこに入れた。