【完】校内1のイケメンに恋をした!! 2
「真由ちゃん、龍輝が居なくて残念だったね」
と、近くに立つ大雅さんが小さく息を吐く。
「あの馬鹿、また連絡つかないんだもんなぁ」
「…ですねー」
…そう。
龍輝さんの携帯に花火大会のことをメールしたけれど返事が無くて、
それで電話もしたけれど、電源が入っていないらしく繋がらなかった。
今度は電源切らないって言ってたのになぁ…。
「まぁいいや、今日はアイツ抜きでいっぱい楽しもー。
ねぇ朔ちゃん?」
ふと、大雅さんの視線が朔也さんに移る。
視線を向けられた朔也さんは、小さな笑みを浮かべて私を見た。
…言葉は無かったけど、でもいつもの朔也さんと変わらない優しい笑み。
だから私も、いつもと同じように笑顔を見せた。
……。
混雑する電車に揺られ、ようやくたどり着いた花火大会の会場は更に人がいっぱいで、気を抜いた途端にはぐれてしまいそう…。
「うっわ、健ちゃんと優ちゃん行方不明ー」
「え?」
「つーかまた“二人きりで見るからー”ってやつだな」
あー…そういえば優ちゃん、「途中からは健吾さんと二人で見るから」って言ってたっけ。
…途中どころか、まだ始まってもいないんだけどね。
「ほんっとにアイツらマイペース…つーか馬鹿だな。
さすが龍輝の妹、さすが筋肉馬鹿」
…あはは。
「…って、朔ちゃんも居ねーし」
「へ?」
あれ?
…ほんとだ、朔也さんも居ない…。