R〇B〇T…?
「花?ああ、この街じゃあもう珍しいよな。毎日見てるとわからねーけど」
「…………」
何かを考えてるかのように黙ったままのユカに、俺は尋ねた。
「……?どうしたんだよ。そんなに珍しかったか?」
「そうですね、もう何年も見ていなかったので。それに……」
話しながらユカは花にそっと触れた。
「……それに?」
「……それに、花が好きなんです。私」
そう言って、ユカは花を見ながら微かに微笑んだ。
それはとても優しい眼差しで、なぜか胸の奥の方がギュッと掴まれたような感覚がした。
(っ……なんだ?)
「……ハルト様?」
返事のないことに不思議に思ったのか、ユカがこっちを振り向いた。
その表情はいつもの表情で、俺はハッとしたように答える。
「あ、ああ。花は俺も好きだよ」
なんだか、照れくさくて視線をそらす。
「花というより、こういう草や花や木や水や……自然の空間が」
そう言って周りを見渡した。
「落ち着くしな」
「ハルト様……野菜は食べられないのにですか?」
ユカが俺を攻めるような眼差しで見据えて言い放った。
「うっ……、それとこれは別なんだよ」
痛いところを突かれて、俺は思わずそう言い放った。
すると、攻めるような眼差しだったユカが、少し可笑しそうにクスクスと微笑んだ。