love to you
『葉生くん、おはよう!』

「……腹立つな。」

『え?え?え?』

「なんでおまえの方が早いんだよ」

『え?…あ、あぁ!』



葉生くんはぎりぎり同じ県内の、遠〜い場所から電車通勤している。

わたしは、もともと隣町で生まれ育ったけど、社会人になったのをきっかけに実家を追い出された。


理由は、別に独り立ちしろとかそういうことではなくて、
お父さんの娘離れのため。

短大を卒業するなりすぐに、お母さんに連れられて不動産屋めぐりというものを経験。
就職先から徒歩5分のマンションに引っ越した。

(ちなみに、隣町の実家との距離はバスでたったの15分ですが)


と、いう事情で、

同じ会社に勤めているわたしたち。

出社1時間半前に家を出ている葉生くんが駅から会社まで歩くよりも早く、
わたしは会社に着いてしまう。
< 9 / 95 >

この作品をシェア

pagetop