始まりはあなたの奏でる音。
私は慎哉くんを押し返した。

「え!?なんで!?」
「結愛ちゃんがちゃんとメール見て俺に会いに来てくれたんでしょ?」
「え?メール?」
「昨日送ったじゃん!」
「昨日?」

私は昨日のいたずらメールを思い出した。

「もしかして、これですか?」

私は昨日のメールを見せる。

「あー。うん。それそれ。」

私は慎哉くんのとなりにあるベースが目に入った。

「さっきのベースって慎哉くん?」
「あぁ、結愛ちゃんがなかなか来ないから、練習してたんだ。」
「やっぱり慎哉くんって…」
「俺が、何?」
「慎哉くんって、“ベースの王子様”みたいだなって思って。」

私はそこまで言って、自分が何を言っているのか気がついた。
< 13 / 19 >

この作品をシェア

pagetop