始まりはあなたの奏でる音。
キーンコーン…

「あ、鳴っちゃったね。じゃ、俺行くから。またね、結愛ちゃん」

慎哉くんはそう言って屋上をあとにした。

…今のは誰?
慎哉くん?
慎哉くんってあんな人なの?
あんな…

私はさっきのキスを思い出した。

ポロ…
涙が頬を伝う。

「結愛?」

…!?
誰?

私は顔をあげる。

「一真くん…」
「え、え!?結愛どうしたの!?なんで泣いてんの!?」
「ふぇ…」

一瞬止まった涙がまた溢れだした。

「よしよし…俺でよかったら話聞こうか?」

一真くんは私の隣に座って頭を撫でてくれた。

「一真くん…あのね…」

私はさっきの出来事を一真くんに話した。
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