わたあめ系彼氏。
「私ね、大好きな彼氏がいたの。櫻田睦月って言うんだけど、サッカー部のエースで全国も夢じゃない位の才能の持ち主でね。」
彼は興味を持ったようで、十分大きい目を更に大きくさせ、聞いている。
「私よりひとつ年上の2年生で、凄く優しい人だった。3ヶ月位前に私、幼なじみに告られたんだけど、先輩がいるからもちろん振ったの。そしたら、その男に無理矢理襲われそうになって。その時は教室だったんだけど、グラウンドで練習してる先輩に聞こえるように、何度も先輩の名前を叫んだ。」
話を思い出す度に、あのときの恐怖も一緒に蘇ってくる。
辛くなって、泣き出しそうになる。
それでも、聞いてくれる彼のために、私は話を続けた。