Mail
「……どう……して……?」
「今春休みだから、家族で旅行に来―」
彼女が言い終わるか終わらないかのうちに、あたしは走ってその場を離れた。
「ちょっ!櫻!」
あたしを呼ぶ声が聞こえたが、あたしは逃げるので必死だった。
家に着くと、カーテンを閉め、買ったものも投げて、パソコンの前に突っ伏した。
彼女はイジメの首謀者ではなかったが、彼女のイジメ方は酷かった。
今日は三月三十日。学校はとっくに春休みだ。「……春休み……忘れてた……」
―詩季!
あたしは詩季にメールした。
『詩季!』
詩季がまだ寝ているかどうかなんて考えられなかった。
この、メールを待つ間がもどかしい。
―早く!
♪〜
顔を上げると、詩季からのメールだった。
『どうした?!』
『さっきあいつにあった』
あいつ、と言ってもわからないだろうと思っても、そう打つしかなかった。名前を見るのも嫌だ。
『あいつって、櫻をイジメてた人?』
『うん』
『何かされたの?』
『されてない……。されてないけど、声を聞いた瞬間に昔のこと思い出して。怖くなって、クラクラしてきて』
『待って。落ち着いて。今は無理しないで。大丈夫だから』
―大丈夫……
まただ。
詩季の言う“大丈夫”はあたしを安心させる。『ごめんなさい……』
『いいよ。今みたいに何かあったらいつでも聞くし。俺が帰ってくる頃までに話せそうだったら、またメールして』
『うん……。ありがとうございます』
そう送った後で、ふと我に返り、あんなにパニクってた自分が、少し恥ずかしくなった。
あたしは夜になったら、また詩季に話そうと思った。
「今春休みだから、家族で旅行に来―」
彼女が言い終わるか終わらないかのうちに、あたしは走ってその場を離れた。
「ちょっ!櫻!」
あたしを呼ぶ声が聞こえたが、あたしは逃げるので必死だった。
家に着くと、カーテンを閉め、買ったものも投げて、パソコンの前に突っ伏した。
彼女はイジメの首謀者ではなかったが、彼女のイジメ方は酷かった。
今日は三月三十日。学校はとっくに春休みだ。「……春休み……忘れてた……」
―詩季!
あたしは詩季にメールした。
『詩季!』
詩季がまだ寝ているかどうかなんて考えられなかった。
この、メールを待つ間がもどかしい。
―早く!
♪〜
顔を上げると、詩季からのメールだった。
『どうした?!』
『さっきあいつにあった』
あいつ、と言ってもわからないだろうと思っても、そう打つしかなかった。名前を見るのも嫌だ。
『あいつって、櫻をイジメてた人?』
『うん』
『何かされたの?』
『されてない……。されてないけど、声を聞いた瞬間に昔のこと思い出して。怖くなって、クラクラしてきて』
『待って。落ち着いて。今は無理しないで。大丈夫だから』
―大丈夫……
まただ。
詩季の言う“大丈夫”はあたしを安心させる。『ごめんなさい……』
『いいよ。今みたいに何かあったらいつでも聞くし。俺が帰ってくる頃までに話せそうだったら、またメールして』
『うん……。ありがとうございます』
そう送った後で、ふと我に返り、あんなにパニクってた自分が、少し恥ずかしくなった。
あたしは夜になったら、また詩季に話そうと思った。