Mail
期待
 あたしは、あの間違いメールが来たとき、少しワクワクした。
 だだ引きこもって、家の中で仕事をしているだけだった毎日で、何かあるのかも、と少し期待してしまった。
 でも、やっぱり違った。“何か”なんて起こらなかった。
 現に、あれからあの間違いメールの相手からメールは一度も来ていない。
「……当たり前か」
 たとえ少しでも“何か”に期待していた自分がだんだん可笑しくなってきた。同時に、自分がこの期に及んで、まだ他人と関わりたいと思っていたのかと思うと、自分に腹立たしさを覚えた。
「馬鹿だな……あたしも」
 そう言いながら、あたしは過去のことを思い出して、少し泣きそうになった。
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