意地悪な彼氏




女子陣たちは、蓮光寺君が舞台から降りた後もまだ興奮が収まりきれず騒然としている。



「次は、在校生代表挨拶です。生徒会長の友枝遥斗君はお願いします。」



そう、言うと遥斗が舞台に上がってきた。そう、私の兄、友枝遥斗は生徒会長なのだ。



『きゃー!』



無駄に格好良い遥斗は、蓮光寺君並に騒がれている。



無駄に格好良く、無駄に騒がれている遥斗を見ると“みんなー!こいつはただの変態シスコンですよー!”と言ってやりたくなる。



だが、この変態シスコン遥斗のおかげで、私は中学一年の頃からスカートが短かろーとサボっていよーと先輩には目を付けられず可愛がってもらった。



そんなところは、こんな兄をもってよかったと思っている。



女子の黄色い声で挨拶はほぼ聞こえず、遥斗の挨拶は終わった。



私に向けた、パチッと目尻から星が飛びそうなウインクを残して。



「今、遥斗様私に向けてウインクしたわー!!」



私斜め後ろに座っているクラスメイトが目をハートにして言っていた。他の人たちも騒いでいる。



いやいや、違いますよ。私にです。あいつただのシスコンですから。てゆーか様付けって…。



段々、遥斗に騙されているここの生徒たちが可哀想になってきた。



そんなこんなで、入学式は閉会し、私たちは自分のクラスに戻った。




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