クラスメイト
追いかけるようにして、少し早足で校舎へと入った。見飽きた昇降口に彼女はいない。
二階に上がると二年A組の白い扉で立ち止まる。二学年の教室が並ぶ廊下には元気な男子生徒と話し声やバタバタと走り回る音が響いている。
いつもどうりだ。何も気にすることはない。
自分に言い聞かせるように頭の中で呟くと、白い扉に手をかけで横に動かした。
教室内の視線が一気に集まる。唖然とした表情。
思わず力んでしまい扉を開けた時に破裂したような音が響いた。
全身に熱がおびる。とくに顔周辺が酷い。まるで燃えているようだ。
修は赤くなった顔を隠すようにうつむきながら教室内へと歩を進めた。
大抵こういった考えや不安は杞憂に終わる。本人が気にしている事でも、周りは案外無関心なものだ。
「やっと復活したか、修」
教室にほぼ中心あたりにある自分の席で、カバンに入った教科書やノートを机の中へと移している修に、健康に見える茶色い肌色が特徴的な少年、荒木智也が声をかけた。