クラスメイト
隣りのクラスは朝礼が終わったようだ。教室内の静けを嘲笑うように、楽しそうな声が聞こえてくる。
いつもどうり鷹野の朝礼は長い。他のクラスは五分もあれば朝礼は終わり、一限目の授業が始まるまで自由時間になるのだが修のクラス、二年A組はそうもいかない。
鷹野はいつもどうりの高音の声で、朝礼を進めていく。その口調は聞き取るのも困難な程に早口で、何故毎日の朝礼がこんなに時間が掛かるのか疑問に思うが、嫌みにしか聞こえないその注意事項に耳を傾ければ、疑問はすぐに解ける。
誰もをウンザリさせるそんなBHMを聞き流し、修の視線は左斜め前の一点に集中していた。
二年A組は他のクラスに比べて朝礼の出席率が悪い。それは言うまでもなく鷹野が原因だが、そのおかげで修の席からは普段は隠れて見えない彼女の席が見える。ただ見えると言っても他の生徒もいるため、そこから見えるのは後頭部か横顔の一部だ。
彼女は当たり前のようにそこにいる。修が休む前はあの席には他の生徒が座っていた。ただ、自分の席から少し離れているその席の記憶は曖昧で、誰が座っていたのかは思い出せずにいた。
とりあえず彼女は自分が休む前にはいなかったのは確かで、それを考えると彼女は修が休んでる間に転校してきた生徒だということになる。
そう考えると妙なのは荒木や他の仲間達だ。
転校生なんていうビックニュースは修が登校してすぐに、いや、休んでいる間にメールで知らされてもおかしくない。
転校生、さらにあのルックス。実際には横顔しか見れていないが、それでも整っていることは間違いないないあのルックスなら、狭い学園内では話題に上がりそうなものだが、朝の時間のうちにそれを聞く事はなかった。
まるでクラス全員が彼女の事を触れないようにしてるかのようだ。