泡沫眼角-ウタカタメカド-
「でね……そう。うん!」
「……」
周りの視線もなんのその。
言乃も最新機器には弱いのか、熱心に説明を聞いている。
「はぁ…美味い。さすがは浅屋の羊羮」
奏も奏。
周りの部下は見ないふり聞かないふり。
「禅在さんとよくない関係ってのはわかりました。だから禅在さんが怪しいっていうことですね?」
「次はどこの和菓子屋を……って、あぁ。そういうことだ」
「……」
ハァ、全く…
なんだか緊張も取れてきた恵は、少し声を強めることにした。
「で! どうするんですか、これから?」
「あー、ゴホン! 俺たちとしては二人も殺られたんだ。落とし前つけなきゃならない」
「はい」
「その為に、指示をあおぎたいんだが……生憎、組長代理がいないんだ」
「代理?」
組長って奏さんじゃなかったの?
「数年前に親父が病気で死んでから、うちには正統な組長はいない。
当時俺はまだ若かったから候補には入らない。
そこで一人の男に頼んだんだが、そいつはどうしても辞退するっていうから、適任が見つかるまでの繋ぎとして代理を頼んだのさ」
実質、組長である。
が、その彼がいないとなると大きな動きは出来ない。
八年前の奇襲失敗は、彼らの中で大きなトラウマなのだ。
「あの、そのことなもんですが……」