泡沫眼角-ウタカタメカド-
朋恵はデスクに戻って椅子に体を預けた。
周りの刑事は皆発表された地取り捜査の担当の場へと向かっていく。
――行かないきゃいけないんだけど、今まで出てたんだから、少しくらいいわね
一息ついた時、朋恵のポケットが震えた。
「はい冬沢……あ、舘見さん?」
よかった。何事もなかったようだ。
『すみません、ちょっとヒツジ会さんに連れていかれちゃって…』
「あら、そうなの……え!?」
何事どころか、大事だ。
『そのことでちょっと伝えたいことがあるんですが、このままお電話大丈夫ですか?』
「え…?」
振り向いて高橋の方を見る。
話のわかっていない高橋はちょっと首を傾げて口パクで
(先に行ってましょうか?)
よく察してくれる後輩だ。
お願い、と頷くと高橋は踵を返して行った。
――花形でも呼びに行ったかしらね
「さて、いいわよ。話して」
そして聞かされた話は驚くべき内容だった。