泡沫眼角-ウタカタメカド-
『そうなんですか…』
しみじみとしたような声が聞こえてくる。
手がかりの少ないこの状況。
どう打開すべきか……
「うーん……」
――って私は何を一般人に言ってるのよ!
捜査状況を漏らすなんて、バレたら始末書どころじゃない。
同僚に相談するかのように普通に喋ってしまった。
「ちょっと、ごめんね! 私もまだ仕事あるのよ。そろそろ…」
『あ、はい! 長々とすみませんでした!』
「いいのよ。だいぶ役立つ話聞かせて貰ったからね」
全くもって大事なことと、大きな疑問をもたらしてくれた。
『そんな、頑張ってください!』
「高橋が日奈山のことも調べるって言ってたから、そっちも含めていい連絡出来るようにするわ」
そうしなければならない。色々と聞きたいことも出来たし。
恵は明るくお礼を言い、電話を切った。
――さて、と
朋恵は携帯をしまい、バッグと上着を手にとる。
「係長、私も出てきます!」
止まってる暇はない。
少しでも、早く突き止めてみせる。
いい連絡を。
その口約束を、朋恵はすぐに後悔することになる。