泡沫眼角-ウタカタメカド-
翌日
一通り始めの捜査が終わったところで、また捜査会議が開かれた。
出席する面々には、欠伸を噛み殺す者も多数。
朋恵の頭もガクリといきそうである。
「先輩…夜ちゃんと寝ました?」
隣で高橋が、やや睨むように尋ねてきた。
「寝たわよ。でも上手く寝付けなかったの」
「同じじゃないですか」
高橋は大きく肩をすくめた。
しかし朋恵からすれば、遅くまで働いて署に泊まり込んだというのに、いつもと変わらぬ高橋の方が異常である。
いや――
「さぁ、座りましょう」
――訂正。後ろの髪の毛が跳ねてる
天然パーマの間をぬって一房、しっかり上を向いている。
朋恵は高橋の隣の椅子を引いた。
「欠伸はしてても、寝癖くらいはちゃんと直すわよ? 私は」
「寝癖? あ、……あわわわ! 直して来ます!」
逃げようとする襟首をしっかと掴む。
そのまま高橋を椅子に縫い付けた。
「せ、先輩ぃ…」
「会議、もう始まるわよ?」
情けなく口をへの字にする高橋に、とびっきりの笑顔で応じると、高橋は小さく項垂れた。
氷の女は伊達ではない。
周りがクスクスと笑う中、捜査会議は始まろうとしていた。