泡沫眼角-ウタカタメカド-
号令の後、管理官がマイクに向かって語りだした。


「昨日の駅前地下駐車場で発生した吉野春日殺害事件は、先日の金子鉄雄の事件と繋がるとはっきりした。

双方の捜査線上に、一人が上がった」


管理官のパソコンに繋がれたプロジェクターが、一人の写真をスクリーンへ浮かび上がらせた。


「!!」

どこか見覚えのある――金髪の青年が。

「先輩、これって…」

「どういうこと、なんて聞かないでよ? 私も訳わからないんだから」


顔を青くする二人のことなど知る由もなく、管理官は得意げに話を続ける。

「被疑者の名前は日奈山炯斗、20歳。星花大学の二年生。日奈山は比津次会と繋がっていることがわかっている」


ちょっと待てと叫びたいのをぐっと我慢して、メモに意識を集中した。


「被疑者は比津次会本部の隣に自宅があり、幼少の頃から嫡子の狭間奏と交友関係にあった。
よく本部にも出入りしていた様子が調査によって挙げられている」

「ちょっと待って下さい!!」

我慢は、長くなかった。

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