泡沫眼角-ウタカタメカド-
【ケイトくんは、幽霊に取り憑かれています】
「……」
体が一気に冷えた。
せっかく温かいドリンクを飲んだところなのに。
【それがケイトくんの失踪の理由であり、命が危ないということです】
いつかの心霊番組だったか。
芸能人が幽霊に憑かれているとして浄霊を行っていた。
能力者が念仏を唱えると、苦悶の表情と共に人に現れていた。
まさか、あのようなことが炯斗にも起こっていると?
【今、ケイトくんの体を操っているのは幽霊です。ですが、昨日見たところでは、状態は安定していました】
「安定?」
【はい。】
恵の脳内に疑問符が上がる。
「憑かれてるって十分危ないんじゃないの?」
【確かに、通常より危険です。
しかし、今二人の魂は順番に体を預け合っているので比較的安全です】
「??」
さらに混乱する恵に、言乃は少し考え込む。
【つまりですね。
今、ケイトくんの力が弱い。眠っていると考えて下さい。
ケイトくんが眠っている間、幽霊が体を自由に使ってるんです】
「な、なるほど…?」