泡沫眼角-ウタカタメカド-
【もちろん、ケイトくんはそのうち目覚めるので、そしたらケイトくんが普通に体を使えるというわけです】
「なるほどー!」
恵の頭からポン、と疑問符が消える。
【ただ、多くは体を幽霊と取り合うので、魂が疲弊して体調が悪くなったりという症状が現れます】
それで番組のようになる訳だ。
――理解はしたけど、完全にファンタスティックな話だよね…
言乃や炯斗の能力。
一度はそれに頼った身であり、本物の幽霊とも遭遇してしまった恵としたら、信じない訳にはいかないが。
――たまに、夢じゃないかって思うよ
それだけ突飛な話であるということだ。
「じゃあ、炯斗はその幽霊さんと上手く折り合いをつけてるってこと?」
炯斗がテンション高く幽霊に絡む図が浮かぶ。
【いえ、】
と、一瞬で言乃に消されてしまった。
【長い間彼が活動してるということは、多分ケイトくんの魂は、強制的に眠らされているか何かしているのでしょう】
「そうなんだ…」
恵の中で、何かが引っ掛かった。
「え、“彼”? ことのん、幽霊さんのこと知ってるの?」
【はい。実は、今日の話というのはそのことなんです。
ケイトくんの中の彼。
つまり、ファントムなる方とは昔の知り合いなんです】
「え!?」
驚く恵を真っ直ぐ見つめ、言乃は少しずつタブレットに打ち込み出した。