泡沫眼角-ウタカタメカド-
短き邂逅
* * *
炯斗はフ、と目を覚ました。
どこだ? ここ
突然はっきりした頭で、辺りを見回す。
炯斗はベッドに横たわっていた。
部屋は暗い。
外もだ。
――俺は、あの変な街にいたんじゃなかったのか?
考えてみてもわからない。
なので結論は――ま、いっか。
五感の感覚に現実味があるから、少なくともあの街とは違うようだ。
それがわかっただけよしとする。
簡単に考えていくが、わからないものはわからない。
それが信条。
わからないとわかったところで、次だ。
ぐぅぅぅきゅぅう……
「腹減ったぁ…」
炯斗はがっくりと項垂れた。
どこの誰とは知らないが、ベッドに運んでくれたことはありがたい。
介抱してくれた人に起きた旨とこのうるさい虫のことを知らせないと。
しかし、ドアを開けた先には――
「……誰もいない」
なんだか寂しい気もする。
出掛けているのだろうか。
小さな部屋には明かりもついていない。
また腹の虫が存在を大きく主張した。
これはもう……
「ごめんなさい、腹が限界」