泡沫眼角-ウタカタメカド-

「まま、二人ともそんなツンケンするなよ。…そう! で話の続きだがな」

狸翠はここでちょっとメモに悲しい視線を送った。
朋恵と高橋は目配せをして、狸翠の言葉に耳を傾ける。

「これはお前たちにはあまりよくないニュースだ。心して聞けよ。日奈山と行動を共にしていると思われる香田だがな。

元禅在だった上に、そこでだいぶ武器やなにやらの教育をされたらしい。腕も保障できるそうだ」

「!?」

案の定、二人は大きな驚きを示す。

炯斗を信じていた二人としたらさぞ──

「それは、かなりまずいわね」

「もし日奈山くんに何かあってでもしたら──」

「ちょちょ、ちょっとまてお前ら! そっちの問題なのか!?」


狸翠が目を真ん丸くして会話を遮る。
方や二人は何か問題が? という視線。

「日奈山が香田と手を組んでるという話じゃないのか?」

「何言ってんのよ。私たちは日奈山が犯人だとはこれっぽちも思ってないわよ」

「「何ぃ!?」」

「おっさん二人でうるさいわよ」

「なんだとっ!」

「だあっとけ川井!」


珍しく狸翠が止めると、朋恵を厳しい目で見つめる。


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