泡沫眼角-ウタカタメカド-
「どういうことだ? お、お前と日奈山はどういう関係なんだ!」
何の心配をしてるんだという、他全員の視線を浴びながらも騒ぐ狸翠の目は真剣そのもの。
朋恵はうざったそうに髪をかきあげ、呆れた視線を送る。
「どうもこうも、アンタだって喋ったことあるでしょうが」
「なぬっ!?」
大げさに仰け反って、頭を抱える狸翠。
朋恵は呆れて目を細めた。
「本当にわからないの? こないだ私が謹慎くらった事件で大学生がアンタに資料頼んだでしょ? それがコイツよ」
「な、なんだと…!?」
「いちいち大げさなのよ。話進めるけど、いい?」
考え込む狸を置いておいて、残る男二人は頷く。
「じゃあ、お前らが日奈山を信じてる理由って?」
「川井さんは知らないと思いますが、その警部にもご協力いただいた事件で大きく解決に貢献してくれたのが、日奈山くんを中心とするとある三人だったんですよ」
高橋の説明に川井はなるほどと首を振った。
「日奈山に関して探すなら、その一緒に協力してくれた人たちにも聞いてまたどうなんだ?」
「やってますよ。けれども…」
成果は挙がってないんです。
という力ない高橋とは対照的に、朋恵は足を組み直した。
「そんな人間が犯罪に手を貸すとは思えないし、一般人とは思えないレベルで比津次会の情報を持ってる子なのよ?」
「それを放っておくわけがないっていうことなのか?」
「もしかしたら、日奈山くんは逃走ではなく、拉致の可能性も出てきたってことですね…」