泡沫眼角-ウタカタメカド-
――と、意気込んで早三つ目のファイル。
さすがに心が折れそうになってくる。
先ほど言乃が見つけた記事に関連するものは見つけたものの、追加の情報は上がって来ない。
そのまま音沙汰なく二年分が過ぎ――
「……飽きた…」
顔を上げて眉をハの字にする言乃にも疲れの色が見える。
恵は腕時計をチラリと見て、ギョッとした。
「もう三時間もこんなことやってるよ!?」
【正確には、二時間半です】
「…あれ?」
とは言いつつ、言乃も体を起こす。
【お昼にしましょうか?】
「うん!!」
嬉しそうに輝いた表情で頷いた。
近くのファミレスにでも行こうと決め、パッと片付けて図書館を出る。
「「あっ」」
すると出口でばったり、思わぬ人物と会った。
「お前たち…」
「確か、三バカの人…」
「バカじゃねえよ!! 烏山の三兄弟! 俺は三番目の黒羽!」
「ごめんなさい!!」
先日言乃たちを拉致まがいで連行した、三人の一人だった。
【奇遇ですね。こんなところで何をなさっているんですか?】
黒羽は手に持っていた袋をちょっと上げて示す。
「若頭のヨウカンを買いにな」
「本当に奏さんて羊羮が好きなんですね」
「スゲーこだわりだぜ?」
二人の頭にトシオが高い羊羮を買って奏に取り入っていたのが浮かんだ。
「あれで機嫌直しちゃうくらいだから、相当だよね」
【はい】