泡沫眼角-ウタカタメカド-
食事を終えると、黒羽はと別れ二人は図書館に戻った。
【思わぬ収穫でしたね】
椅子に座るなり見えた文字に、恵は首を傾ける。
【黒羽くんが話していた中で、比津次会で過去二回の混乱が起きています】
「二回? そんなにあったっけ?」
「……」
「わわ、ごめんなさい! だからそんな呆れた顔しないで!」
いいですよ、と笑顔を送りつつも僅かに脱力感がある。
言乃の態度に眉尻を下げる恵は、少し小さくなった。
【まず第一に、八年前の話です】
「これはわからないって言ってたんだよね」
【はい。そしてもう一つ。五年前です】
「五年前? ああ、黒羽くんが初めてヒツジ会に行ったってやつ?」
言乃はにっこりとして大きく頷いた。