泡沫眼角-ウタカタメカド-
無表情に掴んでいた手を離すと炯斗は地面に落ちた。
──この野郎っ…
『睨んでも無駄だ。悪いとは思うがお前は邪魔だ』
──…あれ?
ファントムの話が続くなか、炯斗の視線はある一点に吸い寄せられていく。
「お前、それって…」
『じゃあな。寝とけ』
ファントムは一歩後ろにあったスコップを拾う。
「ちょ、ちょい待て! 俺にはまだ聞きたいことがあるんだって!」
『それに答えることはできないって言ってんだから、おとなしくしてろ』
ファントムはスコップを振り上げる。
「だから待っ──」
三度の衝撃の後は、真っ暗闇だった。