泡沫眼角-ウタカタメカド-
「ファントムは何かを見て決意してた。たぶん、それが今回のことなんだろ? あんたはそれが何なのか知ってるはずだ。それか…なんかを持ってるか」
「!?」
炯斗は香田に迫っていた身を引いて、狭い車の車内を見まわした。
かすかに感じる銀色の光の気配を探す。
炯斗の行動の不可解さに眉をひそめたのはもう一人の男。
「炯斗…一体、何をしている」
しかし目の前できょろきょろしている青年には届かない。
何かに目を凝らすように細めて、真剣に、何かを探している。
── ‼
瞬間
香田の背中に冷たいものが走ると同時にはっきりと的を見つけたように炯斗の目が一点に吸い寄せられた。
それは──
中身など、知る由もないはずなのに。
確信をもって伸びる手。
その中には──!
「待て!!」
もう、袋に触れる直前。香田の言葉に、ゆっくり炯斗は振り向く。
開かれなかったことに安堵する香田ははっきりといった。
「…わかった。全てを話そう」