泡沫眼角-ウタカタメカド-
「データにないのは、こいつらがつい最近組に入ったからです。ここんとこ、うるさくしてるチンピラの中にありました」
「と、いうことは…」
狸翠の目が上げられ捜査員を見つめる。
「おそらく、組が割れるのを避けようとしたのかと。つまりこのバックには禅在」
「比津次以外の候補を襲って、比津次に罪を着せようとしたか…」
「はい」
捜査員はにやりとして頷く。
それなりにもう経験を積んだ捜査員は、情報から推理することも忘れない。
「となれば、一緒に襲われた綾門側も禅在と手を組んでいる可能性があります。ともに比津次を嵌めようとしたのかと」
「そうなりゃ今回の選挙は真っ赤な狂言みたいなもんじゃねえか」
裏の胸糞悪さに狸翠は舌打ち。
捜査員も苦虫を噛み潰したように厳しい表情だ。
狸翠はきっと顔を上げて書類を捜査員に押し付けた。
「禅在組ってわかったんなか詐欺でもヤクでもなんでもいい。適当に令状取って引っ張ってここい! そんでもって今回のこと吐かせろ!」
「はい!」