泡沫眼角-ウタカタメカド-
おとなしく狸翠とともに病院の受付に立つと、谷との面会はあっさりと了承された。
思わず、二人は目を見合わせる。
(警察に釘をさせば十分だと思ったんですかね…)
(かもな…)
余計なことを言う前に唇をつぐんで、看護婦さんに谷の部屋を教えてもらって二人はエレベーターに乗り込んだ。
無事、谷と書いてある個室を見つけノックする。
軽い返事が聞こえると、二人は個室に入った。
「どうも、谷さん。警視庁の冬沢です」
「おなじく、川井です」
突然の来訪者。
何の気なしに入れたら相手は警察。
相当の驚きか、そのまま谷は口をあんぐりと開けて二人を交互に見つめた。
「今回の件でお話を聞かせてもらいたくてですね…」
「そ、そんなっ! 警察は許可されていないはずだぞッ!」
相当、声が裏返っている。
谷にまあまあと言いつつ、微笑む狸。
「大丈夫です。破ってることは承知の上です」
「な、なにぃ?」