泡沫眼角-ウタカタメカド-
「暴力団対策課のデータベースの一部ですかね」
「警察のサーバーにつなげば見られるものね」
朋恵は大きく息を吐いた。
情報を的確に引き出し、まとめ、補足さえつけて渡してくるこの手腕。
──これが、ベテランの力か…
香田やほかの幹部たちについても“幹部である”ということ以外の情報を持っていないことを見抜かれている。
またもや、自分の甘さを思い知らされるようだった。
高橋にしても、ここまでまとめ上げてくる力はまだ、ない。
「先輩?」
朋恵はハッと我に返る。
「ううん、なんでもないわ。こんなことでナーバスになんてなってられない。進むわよ!」
「はい!」
日奈山と狭間について、もっと何かある。
調べられる。
そんな気がする。
意気を高めてデスクの鞄を持ち上げたとき、朋恵の携帯電話がベルを鳴らした。
「はい、冬沢──」