泡沫眼角-ウタカタメカド-
ことのんが、明らかに中年のおじさんと普通に喋ってる!?
言乃にまさかそんな交流があるとは知りもしなかった恵。
口をぽっかりと開けて見ていると、ようやく言乃が帰ってきた。
【恵ちゃんは初対面でしたね。紹介します、彼はトシオさんです】
こっそり携帯を恵にだけ向けて、
【失礼ながら名字は忘れてしまいました…】
「チッチッ、違うよことのん」
うわぁ、指をふる動作するだけで、汗が飛び散る人初めてみた。
「恵さんというのか。僕は宇佐目直泰(ウザメ ナオヤ)だ!」
「全然ちがうし!!」
思わず突っ込むと、言乃は真剣に首を傾げた。
「そ、それより、今日はうざったい日奈山はいないんだね」
ぐふ、と笑う宇佐目。
恵は彼から一歩下がった。
「どうやって知り合ったの? こんな年上の人と」
【ケイトくんと知り合った時に一緒に。
確か彼は私たちより学年が一つ下で、19歳だったと思いましたよ?】
「えっ、ええぇ!?」
どうみてもオジサンなのに?
一個下? 未成年?
「嘘でしょ!」
「これが学生証だよ」
た、たしかに……
確かに書いてある学年は下。
生年月日も、下。
「年齢詐称じゃないの?」
「失礼なっ!」