泡沫眼角-ウタカタメカド-
迫られると暑苦しい熱気も共に。
「わ、わかった…」
宇佐目が離れて、恵は息を吐き出した。
それにしても、世の中はなんとも不思議すぎる。
年下なのに遥か上のオジサンみたいな人がいるなんて…
その時、恵の脳裏に衝撃が走った。
年下なのにオジサン
年下のオジサン
トシ下の……オジサン
「だからトシオ!」
「違う!」
【ちなみに、最初に言い出したのはケイトくんです】
「なっ!」
ガックリと恵は項垂れた。
よりによって、炯斗と一緒だなんて!
本人が聞いていたら、怒涛の抗議がくるだろうが、幸いなことにこの場に炯斗はいない。
「そんなに落ち込むことはないぞ!」
「……ふん、だ」
プイとすれば、肩に伸ばそうとしたトシオの手が途中で止まり、苦笑した。
【それより、トシオさんはなぜここに?】
「トシオ呼びは変わらないんだね…ことのん。
人に頼まれて駅前の和菓子屋でこれを買ってきたんだ」
掲げて見せる袋には、なかなかに有名な近くの和菓子屋のロゴ。
「その戻りにことのんに会えたんだ!」
【ようかんですね】
ことのん、スルースキル上がったなー…と呑気に恵。